【盛況御礼】2026年度第1回(39回)日本プロセス化学会東四国地区フォーラムセミナー

当フォーラムは、プロセス化学における次世代の人材を育成することを大きな目標としていることから、若手研究員ならびに院生・学生を対処としており、セミナーの内容は化学的な内容に偏ることなく、プロセス化学の基礎から先端技術まで、広範囲を対象としており、今回は57名(学生36、一般21)の参加で行われた。
今回のセミナーでは第一講目においては“「仕事をするとは?」― これから世の中に出て行く皆さんへ ―“と題して株式会社 ラベニール3000 笹岡 三千雄先生にご講演いただいた。笹岡先生の講演では、講演者自身の経験をもとに、学生に対して将来の働き方や生き方の重要な指針が示された。まず、近年の企業採用は新卒一括採用から即戦力やポテンシャル重視へと変化しており、学生は自分の強みや意欲を持って臨む必要があると指摘された。特に重要なメッセージとして、「本当に好きなことを見つけ、それを可能であれば仕事にする」ことが強調され、没頭できる対象を持つことが豊かな人生につながるとおっしゃられた。続けて、ご自身の研究者・企業人としてのキャリア(留学、研究開発、企業での事業化など)を紹介され、その中で「人との出会い」が人生や仕事の方向性を大きく左右することを強調された。また、成功には明確な目的意識と動機、そして粘り強く継続する姿勢が不可欠であり、失敗しても修正しながら前進することが重要であると述べられた。さらに、自分の頭で考え主体的に行動する力が実社会では重要であると指摘され、与えられた課題に従うだけでなく、自ら考え挑戦する姿勢を持つことの大切さを伝えられた。様々なご経験をしてこられた笹岡先生だからこそお話しできる非常に興味深い講演であった。
第二講目において「触媒的骨格転位反応の新展開」と題して、東北大学高教機構・東北大院理教授 中村 達先⽣にご講演いただいた。本講演では、「ケミカルスペース(理論上存在し得る化合物の総体)の拡大」、すなわち、未踏領域を切り拓くためには、新たな有機化学反応の創出が不可欠であり、とりわけ骨格変換に着目し、基質の精密設計と金属触媒の合理的選択により新規性の高い触媒的骨格転移反応を開発されてきた点について講演がなされた。講演では、様々な独創的な合成法が紹介されたが、その一部を紹介する。例えば、O-propargylic oxime に対し銅などのπルイス酸性遷移金属触媒を作用させることにより、C-O、N-OまたはC=N結合の開裂を伴う骨格転位を経て多様な環サイズをもつ多置換へテロ環化合物が効率的に合成できることを明らかにされた。また、N-ヒドロキシアニリン誘導体の[1,3]-アルコシキ転位での触媒化にも成功されている。さらに、1,3転位反応やドミノ反応を利用し、従来困難であったメタ置換アニリンなどを高選択的に構築できる点やカチオン性NHC-Cuおよびアルコキシド共触媒の存在下でオルト位に電子供与基を有するN-アルコキシアニリンとアルコールとの反応において、脱芳香族化1,4-シクロヘキサジエン誘導体を高収率かつ高選択性で生成した例も紹介された。
後半では、π-ルイス酸性触媒として金触媒や銀触媒を用いスルフィドやスルフィルイミンを含む基質とすることで、S–N結合やS–O結合の切断・再構成を伴う反応が進行し、新しいヘテロ環骨格が得られる。O-アルキニルベンズアルデヒド由来のN-スルフィニルイミンの環化-分子間スルフィニル基転移反応は、π-ルイス酸性銀触媒によって効果的に促進され、4-スルフィニルイソキノリンを高収率で得ることができた。さらに、キラル求核共触媒存在下での銀触媒反応は、高いエナンチオ選択性でキラルスルホキシドを生成した。また、O-アルキニルベンゼンスルホンアミドのAu触媒反応が、環化に続いてスルホニル基がC4位に位置選択的に転位し、4-スルホニルインドールが生成する研究なども紹介された。

日 時:2026年6月27日(土)
会 場:徳島大学薬学部(蔵本キャンパス)長井記念ホール

講 演:14時〜16時15分
1.笹岡 三千雄 先生((株)ラベニール3000 )
「仕事をするとは?」― これから世の中に出て行く皆さんへ ― 
   座長 大江 匡彦(シオノギファーマ)

2.中村 達 先生(東北大学高教機構・東北大院理 教授)
「触媒的骨格転位反応の新展開」
  座長 山田 健一(徳島大学)

ポスター発表:16時30分〜18時

プログラムおよび要旨

ポスター賞を、題目「ビスフェニルメンチルアルキリデンマロネートを用いるシクロプロパンアミノ酸のジアステレオおよびエナンチオ選択的合成法の開発」の徳島大薬の髙橋昇吾さんに授与しました。

主催 日本プロセス化学会 東四国地区フォーラム(代表幹事 宍戸 宏造)

なお、次回は第40回記念東四国フォーラムを2026年12月19日(土)に徳島大学常三島キャンパスにて行います。
皆様の参加をお待ちしております。

日本プロセス化学会への入会手続きがより簡単に

日本プロセス化学会 (JSPC) にご関心をお持ちの皆さまへ、入会手続きがよりスムーズになるよう、 入会申込フォームを更新いたしました。
最新の申込書フォームは学会サイト「入会・歩み・会則」のページからアクセスできます。

入会・歩み・会則 – 日本プロセス化学会